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相続の用語解説 遺言 一般家庭ほど実は必要!正しく理解したい遺言書の知識

遺言書はお金持ちやドラマに出てくる家族が書くものと思っている人もいるかもしれませんが、実はごく一般の家庭ほど遺産相続の争いを避けるためにも重要なものといえます。
相続争いは遺産の金額だけではなく、考えのすれ違いや家族が亡くなったことによる動揺などからも生まれてくるため、遺言書がなかったために仲の良い家族にもヒビが入ってしまう可能性があるのです。
今回は普通の家庭ほど知っておきたい遺言書の必要性や作成する際の注意点などを解説していきます。

一般人も知っておきたい遺言書の必要性

遺言書がないときに発生する相続争いでは、遺産の金額が多いほどもめやすいイメージがあるかもしれません。
しかし、実際は遺産の金額が少ない家族の方が意外ともめるケースが多く、他人事ではないのが相続争いの怖いところといえます。

とりわけ子どもがいない家庭の場合、お金の話だけでなく、お墓の管理などが問題になることがあります。
遺言書できちんと墓守をする承継者について書いておかないと、親族間でもめる原因となるので注意が必要です。
また、遺産が現金ではなく住んでいる家や土地などの不動産しかない場合もトラブルの種となります。

親と同居している子どもとそうではない子どもがいる場合、親の死後は不動産を2人で分けなければなりません。
しかし、不動産をそのままちょうど半分に分けることは難しく、結局は家と土地を売却して現金に換えて兄弟で分けることが多くなります。
その結果、同居していた子どもの方は住む家を失ってしまいます。

個人事業主が事業の権利を誰かに引き継がせたいときは、事業用の財産のほか負債、契約、特許権、著作権など事業に関わるすべてを複数ではなくたった1人が引き受けなければなりません。
遺言書で誰か1人をきちんと指定しておかないと事業の権利をめぐって親族間で争いになることでしょう。
また、相続人同士の仲が悪い場合はお互いの相続分をめぐって骨肉の争いとなることも珍しくありません。きちんと遺言書でそれぞれの分を指定しておくことが望ましいでしょう。

実は書き方が決まっている遺言書

遺言書には法律で決められた書き方があり、いくら丁寧に書かれていても定められた方法で書かれていなければ遺言書としては認められないので注意が必要です。

遺言状には「普通方式」「特別方式」の2種類あり、一般的には普通方式で書かれます。
普通方式は「日付」「氏名」「押印」の3つが重要なポイントですが、特別方式は死期が近いなど状況が差し迫っている中で作成される方式で、特別な状況下でも行える方法となっています。

特別方式では必ずしも文章として残されていなくても有効となるなどの特例がありますが、家庭裁判所で承認されなければならないものもあります。
例えば、船舶遭難者遺言では、船舶や航空機などで遭難中は証人2人以上に口頭で遺言を伝えるだけで、紙に書き残す必要はありません。

ただし、船舶遭難者遺言では家庭裁判所による承認を経なければ有効とはされません。
また、病気で死期が近い場合の特別方式では証人3人以上が立会い、その中の1人に口頭で遺言を伝えます。
遺言は証人によって筆記され、遺言者や他の証人に読み聞かせて内容が正しいことを承認してもらいます。
承認は署名と押印を持って終了しますが、この方式では遺言の日から20日以内に証人か利害関係人の請求によって家庭裁判所での確認を得なければ無効となるので注意が必要です。

3種類の普通方式遺言書の特徴

普通方式の遺言状には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあります。

自筆証書遺言では、本人が思いを書面に残す方法で、「日付」「氏名」を自書し「押印」をすることで完成します。
特別費用がかからず内容の変更も容易であることからよく用いられる方法ですが、紛失したり第三者に改ざんされたりといった恐れもあります。
また、自分1人で作成するため、遺言書として不備があっても気付けないリスクも高いといえます。

公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと行われるやり方です。
遺言者が口頭で公証人に遺言を伝えてそれを公証人が書き取り、書き取ったものを公証人が読み上げて遺言者と証人に聞かせて承認を得ます。
それぞれ内容に不備がないことを確かめたら各自署名と押印し、最後に公証人が法律で決められた方式に則って作成されたことを書き加えて署名と押印して完成します。
口頭での伝授なので字が書けなくても作成でき、原本は公証人が保管するため紛失や改ざんの恐れがありません
しかし、遺言の内容が証人や公証人に知られてしまうリスクがあり、作成にあたり費用も発生します。

秘密証書遺言は、2名以上の証人と公証人の前に事前に作成して封印しておいた遺言書を提出する方法です。
遺言書の内容を他者に知られることなく遺言書があることを周りに伝える方法です。
署名と押印があれば内容は代筆でもパソコンで作成されたものでもよく、公証を経ているため偽造や改ざんの恐れがないのが特徴です。

遺言書が発揮する効力とは?

遺言書には一体どのくらいの効力があるのでしょうか。

まず相続人の特定や廃除遺産分割方法の指定や分割の禁止寄贈を含む相続財産の処分などがあります。
さらに子どもを認知して相続人として加えることや、未成年の相続人に対する後見人の指定など、遺言書を執行する際の条件を付けること、相続人相互に担保責任を指定すること、遺言執行者の指定や委託なども代表的な効力です。
一方、遺族の同意が必要とされる遺体解剖や臓器移植に関すること、相続人の生活に関する事柄などは遺言書で指定することはできません。

これだけは欠かせない!遺言書のポイント

遺言書は原則直筆で書くことが重要で、誰が書いたかわからないワープロなどで打たれたものは効力がありません。
また、自筆証書遺言では代筆も認められていないため、遺言状は基本的に手が動かせる元気なうちにしか書けないことを覚えておきましょう。

遺言は死後家族に伝えられなければ意味がないため、秘密にしておかず遺言書を作成したことを明らかにしておくことも重要です。
遺言書であることがわからず封をした遺言書を家族が開けてしまうことがあるかもしれませんが、その場合無効になる恐れがあるので注意が必要です。

遺言書は早めに書くことが望ましいですが、月日が経てば内容と自分の気持ちにくい違いが出てくることもあります。
遺言書は定期的な見直しをして、常に自分の気持ちや状況に沿うものであるようにしておきましょう。

そのほかにも、遺言書の日時は特定できるようにはっきり書くこと、相続人が誰かわかるように実名かつフルネームで書くことを心がけることも大切です。

遺言書は残された家族を今後複雑な状況にさせないための道しるべとなるものです。
せっかく作成したものが無効にならないためにも、ポイントをしっかり踏まえたものを作成してください。