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相続の用語解説 遺産分割 遺産相続の手続き方法と期限!遅れたときはどうしたらいい?

亡くなった人に配偶者や子どもといった相続人がいる場合、財産やさまざまな権利を相続人が受け継ぐことになります。

これを「遺産相続」といいますが、遺産相続は正しい手続きを期限内に行わないと取得できるはずの財産や権利を受け継ぐことができなくなってしまいます。
また、本来なら支払う必要のない延滞税や加算税などのペナルティを科されることもあります。
そこで、遺産相続の手続きが必要となったときに知っておきたい具体的な手続きの方法や期限、さらに、手続きが遅れてしまったときの対応方法について解説します。

遺産相続開始から7日以内にしなければならないこと

遺産相続が開始されるのは、被相続人が亡くなったことを相続人が知った日です。

被相続人が亡くなった日ではなく、相続人が被相続人の死亡を知った日をもって遺産相続の手続きが開始されます。
人が亡くなると行わなければいけないさまざまな手続きのうち、最初に行うべき手続きが死亡届の提出です。
各市区町村の役所や病院などにある専用用紙に亡くなった人の氏名や死亡日時などの必要事項を明記し役所に提出します。

死亡届とともに亡くなった人の火葬と納骨で必要となる埋葬許可証の申請も行い、交付を受けることも必要です。
これによって墓地などに亡くなった人を埋葬することができるようになります。 死亡届の提出や埋葬許可申請は亡くなった日から7日以内に行わなければならないと決められています。
ただし、実際には埋葬許可申請を行わないとその後の火葬や埋葬を行うことができないため、当日か翌日に提出することが一般的です。

遺産相続開始から3カ月以内に行うべき手続き

遺産相続の手続きには、それぞれに期限があります。

特に遺産相続開始後3カ月以内を期限とする手続きは多いので注意が必要です。
3カ月以内を期限とする手続きには、まず遺言書の有無の確認があります。 遺言書があった場合には遺産分割は遺言書をもとに執行されるからです。
さらに相続人や相続財産の調査も3カ月以内が期限となります。 亡くなった人と相続人の戸籍謄本を取り寄せて民法で規定された遺産を受け取る権利がある法定相続人を特定するのです。
法定相続人は配偶者が筆頭となり、その後は第1順位として子ども、第2順位として亡くなった人の父母、第3順位として兄弟姉妹が続きます。 相続財産の調査は相続税の計算に必要です。
評価方法は、同じ土地でも宅地と農地では異なるなど専門知識が必要となる複雑なものとなっています。
複数いる相続人に対して遺言書が残されていなかった場合や、共同相続人の間で遺言書によらない遺産相続をするといった場合などには3カ月以内に遺産分割協議を行わなければなりません。
誰が何を相続するかについての話し合いが相続人の間だけで解決しなかった場合には家庭裁判所の調停で決定します。 遺産相続はプラスの財産だけを相続するものではありません。
負債などが残っている場合には相続対象となります。 負債となる相続分を弁済した上で残ったプラスの財産だけを相続したいという場合には限定承認の手続きを行わなければなりません。
また負債が多いなどの理由から相続権を放棄したい場合にも相続放棄手続きを行う必要があります。 どちらも3か月以内の手続きを行わないと相続することを承認したとみなされてしまうため注意が必要です。

遺産相続が始まってから4カ月以内が期限の手続き

被相続人が生前に確定申告を行っていた場合には、1月1日から死亡日までの所得を申告する準確定申告を行わなければなりません。
個人事業を営んでいた被相続人や、不動産を賃貸していたり不動産の譲渡取得があったりした被相続人が対象となります。
準確定申告は遺産相続開始後4カ月以内が期限です。 対象者の相続人は期限内に被相続人の住所地を管轄する税務署で手続きを行っておきましょう。
相続人が複数いる場合には準確定申告書にすべての相続人の署名を並べて行うことが求められます。

遺産相続開始後10カ月以内に期限がくる手続き

遺産相続開始後10カ月以内に行う手続きとして遺産分割協議書の作成が挙げられます。

相続税の申告手続きの期限が10カ月以内となっているため、期間内に協議書の作成を行わないと相続税の負担が増えてしまいます。
たとえば配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が利用できなくなるといったデメリットが生じます。 農地の相続がある場合には納税猶予の適用もできなくなります。
遺産分割協議は民法上では変更が効きますが、税法上では内容を変更すると贈与税が課されてしまうことがあります。 一度相続した財産を別の人に贈与したという扱いになってしまうからです。
また、土地や建物などといった不動産の相続をする際には名義変更のための相続登記を10カ月以内に行う必要があります。 相続登記の申請書は必要書類とともに法務局へ提出します。
もし遺産分割協議を期限内に整えることができなかった場合には「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請」を税務署で手続きし、認可されることで対処可能となります。
ただし、これにも申告期限後3年を経過する日の翌日から数えて2カ月を経過する日以内という期限が設けられているため注意が必要です。
さらに相続税の支払いが期限内に難しいことが事前にわかっている場合であれば、条件によっては期限を延ばしてもらう延納や不動産や国債証券などによる物納をすることも可能ですので事前に対処しておきましょう。

遺産相続開始から1年以内にすべき手続き

遺産相続は原則、遺言書が優先となります。 しかし法定相続人には法定相続分の2分の1を請求できる遺留分減殺請求の権利もあります。
ただし、この権利を行使できる対象者となるのは被相続人の配偶者と子ども、直系尊属のみとなります。
直系尊属とは直通する系統の親族のうち、被相続人より前の世代の人を指します。 被相続人の兄弟姉妹には遺留分を請求する権利はありません。
遺留分減殺請求の権利は被相続人が亡くなったことで発生した相続開始を知ったときから1年が期限となります。 これを過ぎると時効によって権利は消滅しますので注意してください。

遺産相続開始後3年以内にすべての申告を完了

相続税の軽減措置を受けるためには遺産相続開始後3年以内に申告を完了しておかなければなりません。
3年以内の申告が必要となる相続税の軽減措置には、たとえば配偶者を対象とした「配偶者の税額の軽減」があります。
配偶者の税額の軽減は被相続人となる配偶者が実際に取得した遺産について、配偶者の法定相続分相当額あるいは1億6000万円のどちらか多い金額までについては相続税が免除されるという制度です。
相続税の軽減措置には、個人の相続人が遺産相続などで取得した一定の面積以内となる小規模な宅地などについて減税を受けることができる「小規模宅地等の特例」もあります。 相続税の課税価格を計算する際に含むべき価額を計算上、減額することができます。
これを「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」といいますが、特例により減額される割合は宅地の利用区分などによって異なってきます。
また、農地を相続した相続人がそのまま農業を引き継ぐ場合や特定貸付けを行う場合などには、「農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例」により納税の猶予を受けることが可能です。
相続税の申告の際の申請とともに、納税猶予期間中は相続税の申告期限から3年目ごとに継続届出書を提出することが必要となります。
期限内の手続きができなかったときの対処法を知らなかったがために後悔することがないよう、事前に遺産相続の手続きや期限について正しく知っておくことが安心へとつながります。