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判例要約
rissuru

身体的な特徴が原因で交通事故の被害が大きい場合、損害賠償の減額はできるのかな~?

ずばり! 減額することは出来ない

なぜ、減額することは出来ないのか?「街角相談所-法律-」
では、実際にあったお話しをもとに解りやすく解説します。

身体的な特徴が原因で交通事故の被害が大きい場合、損害賠償の減額はできるのか?

実際にあったお話し

太郎さんは、一郎さんが所有する自動車を運転していたところ、過って花子さんが運転する自動車に衝突してしまいました。
その結果、花子さんは頭部を運転席に強く打ち付けてしまい、翌日頸椎捻挫と診断されました。
その後も花子さんには頸部・後頭部疼痛や矯正視力の低下などの症状がみられ、これらは頭頸部外傷性症候群によるものと診断されました。
そこで、花子さんは太郎さんと一郎さんに対して、慰謝料の支払いを求めるべく不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起しました。
すると第一審と原審(本事例においては控訴審のこと)は、太郎さんと一郎さんの損害賠償責任を認めました。しかし第一審と原審は、花子さんの平均的体格に比べて首が長く多少の頸椎の不安定症があるという身体的特徴が花子さんに生じた上記の症状を発生、悪化または拡大させたとして民法722条第2項の過失相殺の規定を類推適用(当該法律の本来的適用場面ではないが、当該法律の趣旨が妥当するとしてその効力を及ぼすこと)し、花子さんの損害額を4割減額しました。
この減額を不服として、花子さんは原審に対して上告しました。

「身体的な特徴が原因で交通事故の被害が大きい場合、損害賠償の減額はできるのか?」の結果について

花子さんの主張は認められ、花子さんの身体的特徴の存在を損害賠償額の算定に当たり斟酌することは許されないと判断された。

ポイント解説

(1)被害者が身体的特徴を有していても、それが疾患に当たらなければ原則として損害賠償額の算定に当たって斟酌できない。

⇒ 交通事故の被害者が通常の体質とは異なる身体的特徴を有しており、これが損害の発生に寄与した場合、そこに被害者自身の過失行為がある訳ではないので過失相殺の規定(民法722条第2項)を直接適用し損害額の減額を行うことはできない。しかし同条の趣旨は発生した損害を加害者被害者間において公平に分担することにある。そして交通事故の被害者が通常の体質とは異なる疾患に当たるような身体的特徴を有しており、これが損害の発生に寄与した場合は上記の過失相殺の規定の趣旨に照らして被害者の疾患に当たるような身体的特徴が損害額の算定に当たり斟酌される。(素因減責と言う)他方で被害者が有する身体的特徴が疾患に当たらない場合には、特段の事情が無い限り、これを損害額の算定に当たり斟酌することは許されない。疾患に当たらない程度の身体的特徴は個々人の個体差の範囲内であり、その存在が当然に予定されているからである。
本事例における花子さんの身体的特徴は平均的体格に比べて首が長く多少の頸椎の不安定症があるというものであるが、これは治療が必要な疾病・疾患とまでは呼べない。したがって本事例における花子さんの身体的特徴を損害額の算定に当たって斟酌することは原則として認められない。

(2)花子さんの身体的特徴を損害額の算定に当たって斟酌すべき特段の事情は存在しない。

⇒ 被害者が疾患に当たらない身体的特徴を有していた場合であっても、特段の事情があればこれを損害額の算定にあたって斟酌することは許される。ここで言う特段の事情とは、その身体的特徴を有する者が一般的に見て負傷しやすいものとして慎重な行動を取ることが要請されているといった事情のことを言う。
花子さんの身体的特徴は平均的体格に比べて首が長く多少の頸椎の不安定症があるというものであるが、このような身体的特徴を有する者が一般的に負傷しやすいものとして慎重な行動を取ることが要請されているとは認められなかったため、本事例において特別の事情は認定されなかった。その結果、花子さんの身体的特徴の存在を損害賠償額の算定に当たり斟酌することは許されなかった。

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この事例の投稿者

街角相談所 -法律- 編集部

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