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判例要約
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遺言とは異なる不動産登記がされている場合、遺言執行者の職務権限はその不動産登記を訂正しなければならないのかな~?

ずばり! 不動産登記を訂正しなければならない

なぜ、不動産登記を訂正しなければならないのか?「街角相談所-法律-」
では、実際にあったお話しをもとに解りやすく解説します。

遺言とは異なる不動産登記がされている場合、遺言執行者の職務権限はその不動産登記を訂正しなければならないのか?

実際にあったお話し

達也さんは土地を所有しており、また達也さんには太郎さんら6名の実子のほか養子である花子さんがいました。
平成5年1月22日に達也さんが死亡したため、太郎さんら6名の実子と養子である花子さんが達也さんを相続しました。
なお達也さんが死亡した時点で、達也さんの妻・小百合さんは死亡していたため、相続人になりませんでした。

達也さんは、昭和57年10月15日の時点で、土地①〜⑤を含む全ての財産を太郎さん1人に相続させる旨の遺言(以下「旧遺言」と呼びます。)を作成していました。
しかし、達也さんは昭和58年2月15日に旧遺言を撤回し、新たな遺言を作成しました。
その新遺言の内容は
(1)土地①を太郎さんを除く実子5名に各5分の1ずつ相続させる
(2)土地②〜⑤を太郎さんと花子さんに2分の1ずつ相続させる
(3)良彦さんを遺言執行者に指定する
というものでした。
このような新しい遺言の内容に関わらず、太郎さんは旧遺言を利用して、土地①〜⑤につき、相続を原因として自己名義に所有権移転登記をしてしまいました。
そこで、新遺言により遺言執行者に指定された良彦さんは太郎さんに対して、土地①について太郎さんを除く実子5名への持分移転登記手続を土地②について花子さんへの持分移転登記手続を求めて訴訟提起しました。
これに対して、太郎さんは不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言がされた場合、遺言執行の余地はないとして、良彦さんの当事者適格(訴訟における当事者として訴訟追行を行い、判決をもらうことのできる資格・地位のこと)を争いました。

「遺言とは異なる不動産登記がされている場合、遺言執行者の職務権限はその不動産登記を訂正しなければならないのか?」の結果について

太郎さんの主張は認められず、良彦さんは太郎さんに対して提起した訴訟において、当事者適格を有すると判断された。

ポイント解説

(1)「相続させる」旨の遺言があり、その遺言とは異なる不動産登記がされている場合、遺言執行者がその不動産登記を是正することは「遺言の執行に必要な行為」に当たる。(民法1012条第1項)

⇒ 「相続させる」旨の遺言は、遺贈と解すべき特段の事情がない限り、遺産分割方法を指定したものと解釈され、原則として、何らの行為を要せずに、被相続人の死亡時に直ちにその遺産が特定の相続人に承継される。(最判平成3年4月19日)このような「相続させる」旨の遺言の効力からすれば、「相続させる」旨の遺言がされた場合、遺言執行の余地はないようにも思える。しかし、「相続させる」旨の遺言が抽象的に即時の権利移転効を有するからといって、遺言の内容を具体的に実現するための執行行為が不要になるわけでない。
そして不動産取引における登記の重要性に照らすと、本件のように「相続させる」旨の遺言と異なる不動産登記がされている場合、「相続させる」旨の遺言内容とおりに不動産登記を移転させることは、遺言執行者の職務権限であると判断された。
したがって、土地①について太郎さんを除く実子5名への持分移転登記手続を、土地②について花子さんへの持分移転登記手続を求めることは良彦さんの遺言執行者としての職務であり、良彦さんは当事者適格を有する。

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この事例の投稿者

街角相談所 -法律- 編集部

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